そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰?
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宮本常一著の『旅の民俗学』のなかに、渋沢敬三さんとの会話を書きまとめられたものを見つけました。
なんと、「九条」に関してのことだったので、興味深く、ここに載せてみました。
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戦争がすんで幣原内閣のとき、渋沢先生は大蔵大臣をやられた。
ある日、戻ってくるなり、「宮本、すばらしいじゃないか。こんどできる憲法は、軍備を持たない、戦争を絶対しないということを誓うのだ」と興奮して話された。
僕は、「一体軍隊がなくて国が成立するのですか」
渋沢先生は、「いままではそうだったが、軍備を持たぬことがどんなに難しいことであろうとも、敗けた我々にだけ新しい試みとしてできることだ。これほど誇らしいことはないじゃないか」
なるほどそうなんだ。どんなことがあったって軍隊をもっちゃならない。戦争を仕掛けちゃならない。
それで、どうすれば平和が維持できるかということを考えて、努力すればいい。(103頁に載っています)
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ちなみに、中学3年の担任教師が、九条の話を教室の生徒たちにイキイキと話されたことを思い出します。
なお、渋沢敬三のプロフィールとしては、民族学者、日銀総裁、大蔵大臣 渋沢栄一の孫で渋沢家の家督を継いでいます。
渋沢さんは、宮本常一さんのパトロンでもあります。その頃なら「食客」です。常一さんは、渋沢邸の玄関脇の小部屋に住みこみ、生活と研究を支えてもらっていました。
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