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10年前の小6の児童による事件に引き続き、今回の高1女子の殺害事件が与えたショックは大きく、佐世保の教育界に大きな波紋を呼び起こしている、と報道されました。
この場合、心を育てる取り組みとは、主に子どものほうの取り組みを指していると思いますが、さて、大人には他人の心を思いやる能力が備わっているのでしょうか?
どうも気になります。また、この手の取り組みにはいつも懐疑的になってしまいます。
自分が不幸であったら、他人のことなど思いやる余裕はなくなってしまうだろうと思うのです。
それに、親や教師たちが、建前として立派なことを言っているに過ぎない、と受け止めてしまうだろうと。聞く耳はもうずっと以前に無くしてしまった…。
佐世保は、それよりも、まずは親子関係、家族関係においての「思いやる心を育てる」べきだったのではと考えられるからです。
なお、家庭環境だけでなく、子どもを取りまく社会環境が悲劇を引き起こした、と私自身は考えています。
報道では、母親を失くしたことがきっかけだという見方が多いみたいです。しかし、この15歳の女子は、小学生の頃に給食に5回も洗剤を投入したという事件を起こしています。動物虐待もあります。
その頃、母親は存命していたのですから、母親の死は「きっかけ」であったかもしれませんが、それ以前から女子はなにか精神的な問題を抱えていたと考えられます。また、親子関係がよかったとは考えられません。
給食に5回洗剤投入したという事件に対して、新聞社経営をしている祖父は事件の隠ぺいを図り、母親は土下座して謝罪した。父親は「学校の管理が悪いんじゃないか」と学校側を責めた、と、あるウェブサイトに載っていました。
「有ること無いこと」を言われるのは世の常で、私自身も被害に遭ったことがあります。というよりも、「無いこと無いこと」吹聴され噂されたりします。
ですから、これは事実ではないかもしれません。が、普通によくあることです。ですから、これを事実だとして、この女子の気持ちを思いやって考えてみたいと思います。
よくある例ですが、母親が口うるさく過干渉で心配症。父親は子どものことは妻任せで、子どもが何か不快な出来事を巻き起こしたら妻の育て方のせいにして、妻も夫のせいにして、やがて口論となるというものです。
そんな両親の姿をみて、嫌悪を感じるというのはごくごく当たり前の反応です。両親を尊敬できないだけでなく、こんな親を持って情けない、腹立しいという気持ちになるのではないでしょうか。
既に小学生の頃から、そんな両親を見てきたのではと予想します。ですから、母親が土下座して謝ったのは、まだしも娘にとっては我慢できることではと思うのです。
しかし、父親が学校の管理が悪いと責めるなど、受け入れられないことだった、と予想します。
「自分の育て方や接し方を反省するべきなのに、父親は自己保身に走った!」と、娘は思うのではないかと。両親からの愛情をタップリと感じられる対応とは言えません。
まずは両親のほうが、娘のことを理解していなかったことを謝り、娘の心のうちを知ろうと努める必要があったと考えます。
娘からすれば全ては親のせいになっているだろうと思われます。だいたいが、「人のせいにする」というのが、人としてのごく普通の現象であり、人類として普遍的な自分を守る方法なのです。
それは悪いことではなく善いと言えるものでもありません。精神のバランスをとるために本能的に他者のせいにしてしまうという傾向は誰もが持っています。
ゆえに、問題が深刻化すれば、必然的に他者に危害を加えるという方向に進みます。
両親から自分が真に思いやられる対象になっていなければ、自分は居なくてもいい存在です。そうなれば自暴自棄にもなります。
しかし、両親のほうではそれなりに可愛がっているつもりでいたりします。子どもは親が思うようには受け止めていない、という事実を、親の多くは知らないのです。
さらに、「親が子どもを愛せない」という精神状態にいることも、当然ながらよくあります。教師にもいます。
ウザイ! 手のかかる子どもたちばかりだ! と、うんざりしている人たちも少なからずいると考えられます。
担任や校長や部活の先生も、子どもたちの心を思いやる気持ちも余裕も時間もない! と、子どもたちは見抜いているのです。
尊敬できる親ではない、信頼できるおとなは一人もいない、という環境にいる子どもはそうとういるだろうと考えられます。
せめて、その子ことをわかってくれる人が一人でも身近にいればいいのですが、それも叶わないみたいです。
(ここでエニアグラム性格学を学べば、子どもたちを理解できる可能性は高くなるのですが…)
そんな中で、学校教育の一環として、「心を育てる教育」をテキスト片手に各教室内で一斉に取り組んで、一体、何が得られるのでしょうか。
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