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が、不穏な気配は即位前から続いていました。皇極は推古天皇(33代)と違い、「天皇になれる身分ではない。即位させるなどもっての外だ」という非難が日に日に盛り上がる様相です。デモする人たちがたくさん居たかも…??
聖徳太子を慕う人々の中では、太子の第一皇子である「山背大兄王(やませのおおえのおう)こそが天皇になるべきだ」と気勢を上げる輩も少なくありません。そんな世相を反映してか揉め事や豪族同士の争いが続き、なにやら嵐が巻き起こりそうな雰囲気に…。
なお、山背大兄王は、かつて皇極の夫である田村皇子(欽明天皇34代)と後継者争いをしたほどの人物で由緒正しき血統です。たぶん40代ころで即位するにふさわしい年齢です。ですが、宴の席でつい「自分のような身分の者をないがしろに…」というような不満を口走ってしまった(私の勝手な想像に過ぎませんが)。
それが皇極天皇や蘇我入鹿らの耳に入ったと考えられます。二人とも、この事態を重視して「山背大兄王が謀反を計画している」と見做して、排除するべき相手だという考えで一致をみました。
しかしながら、入鹿は宝姫王によく接するようになってからは、意のままになるどころか、相当に手強い女だと知ります。で、できるだけ早く彼女を退位に追い込み、おとなしく従順な古人大兄皇子(宝姫王の元夫の欽明天皇の第一息子)を天皇にさせようと画策していました。
ところで、当時は短命で在位期間が短く、子ではなく弟が天皇位を継承することが多く、用明天皇(31代)は先の天皇の弟です。在位は2年。疱瘡で崩御したと知らされていたが、巷では暗殺されたと密やかに噂されていました(私の想像)。その次は弟の崇峻天皇(32代)ですが、蘇我馬子(入鹿の祖父)に推薦されて即位したものの、その馬子に暗殺されています。
さらにそれ以前のことですが、推古天皇(32歳)をレイプしようとした穴穂部皇子(欽明天皇29代の皇子、たぶん20歳くらいの時)と、穴穂部と親しかった宅部皇子(宣化天皇28代の皇子)が当時ともに居たために、二人とも馬子に殺されています。
宝姫王の夫である欽明天皇などは、おとなしく控え目な気質であったために、蘇我蝦夷(入鹿の父)に推挙されて天皇になり、生涯何事もなく過ごせました。大豪族の蘇我氏の血が流れていなくとも、蘇我氏の傀儡として使える天皇だと見られていたら、殺されるという脅威に晒されることはありません。
即位した翌年の643年の12月。蘇我入鹿は謀反人を追い詰めるために、ともに戦う仲間(皇族も)を100人ほど集めて斑鳩に居る山背大兄王を襲撃します。追い詰められた山背大兄とその一族20人余はともに法隆寺の夢殿の中で首を吊って果てました。
なお、聖徳太子の子孫はこれで絶えてしまったと言われています。また、この討伐軍の中には軽皇子(宝姫の弟・孝徳天皇に)も参加していたみたいです。
宝姫王にとっては、王位を奪われる恐れがある山背大兄皇子は、入鹿の主導でうまく排除できましたが、最も危険な相手は入鹿です。父親の蝦夷は60歳に近く鷹揚な人物でしたが、祖父の馬子に似た血の気の多くて、かつ有能な入鹿(30歳前後)ほどの男はそれほどはいません。宝姫王は、やられる前にやらねばと考えたに違いありません。
なお、タイプ8は愛憎の激しい気質ですが、なにしろ宝姫王は49歳で、入鹿は30前後です。若いツバメを得て可愛がっていたつもりなのに…若い女が見つかって自分は捨てられたとしたら…。まあ、そこは早く乗り越えられると思うのです。男は浮気などするものと、達観できる気質ですから。宝姫王がタイプ2の女性であれば、嫉妬や怒りで大変なことになるかもしれませんが。
タイプ8は「女性を強く意識するタイプ」で、女性から裏切られると怒りは強くなる傾向があり、男とのことでは冷静になれ、すぐに諦められる気質です。一方、タイプ2は「男性を強く意識するタイプ」ですから、女性に裏切られてもしばらくすれば収まるほうで、男性から捨てられたら大ショックになる気質です。以下をお読みください。
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory5.htm
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-1~/15-42.htm
タイプ8は、何事にも用意周到で、「権謀術数」という熟語をタイプ8に当てはめているように、非常に冷静な策略家にもなります。この場合、宝姫王は、入鹿が自分に退位を迫るというのではなく、暗殺される恐れがあると見ていたものと私は考えています。(たぶんこれが事実だと思うのです)
しかし、山背大兄皇子を討伐した後に宮殿で宴を開き、自分はホッと安堵したことを伝えて、入鹿に丁寧なねぎらいの言葉もかけて、いかにも信頼しているかのような素振りを見せます。が、やがてあの日が近づきます。つづく
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