そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰?
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『日本書紀』には、宝姫王が再び即位した斉明元年(655年)に起きた奇妙な出来事を載せています。
「空中に竜に乗れる者あり。貌(かたち)は唐人に似て、青油笠を着て、葛城嶺(かつらぎのたけ)より、馳(はし)りて胆駒山(いこまやま)に隠る。午時(うまのとき)に至るに及び、住吉の松の上より西を向いて馳り去る。時の人云ふ。蘇我豊浦大臣(とゆらのおおおみ)の霊なり」と。
また、斉明天皇の葬儀が行われた夕方頃に、「朝倉山の上に鬼有りて、大笠を着て、喪の儀を臨き視る。衆、皆嗟怪ぶ(あやしむ)」とあります。
鬼らしきものを見て、それを蘇我入鹿(通称は豊浦大臣)の霊だ、と、庶民たちが見ていたようです。それは「天皇が入鹿を貶めて殺したので霊が彷徨っているのだ」と考えたからでしょう。つまり、クーデター(乙巳の変)の首謀者は息子の中大兄皇子ではなく、母親のほうに違いないと思っていた…。
655年と翌656年に、天皇が住む宮殿が続けざまに火災に遭っていますが、当時の人々は災害に遭うと、それは天皇の施政によると見ているのですから、庶民は斉明政権に対して批判的に見ていたと考えられます。
ちょっとビックリという記事も見つけました。長野県の善光寺に伝わっている「縁起」に載っている①
「地獄で皇極帝と出会った」というものです。このサイトはホームページですから、何やら忖度して載せていないようですが、②と③には載っています。その他「驕慢で嫉妬深い」から地獄に堕ちたと伝えられています。
①『善光寺縁起』https://www.zenkoji.jp/about/engi/
②http://blog.livedoor.jp/mappkakr-kaikatudo/archives/67441112.html
③http://jj243.cocolog-nifty.com/log/2009/05/post-0ca6.html
ところで、今回①サイトを見て幾つもの驚きがありました。善光寺の寺伝によれば本堂は皇極天皇元年(642)の創建となっており、地獄にいた皇極帝を助けたので建立されたようです。
さらに、善光寺の本尊は「絶対秘仏」です。寺の住職ですら目にすることはできないらしい。本尊である仏像はインド製らしく百済から持ち込まれた? しかも、仏教が宗派に分かれる以前からの寺院ですから、この寺はどの宗派にも属さないという。
本堂の屋根は檜皮葺(ひわだぶき)きで、屋根形式は撞木造(しゅもくづくり)という特異なもので、かつ間口に比して奥行が深く日本の仏堂には特異な平面だとか。
また女人禁制の寺があるなか、稀な女人救済の寺だとか。皇極との因縁から建てられたのですから、女性禁制にはならないでしょう。その他、謎の多い寺みたいで、なんだか訪ねてみたくなりますね。
★『善光寺の謎』が照射する石渡理論~「百済」のリンクhttp://blog.livedoor.jp/wakankousa/archives/50667735.html
★宮元健次著 『善光寺の謎』 (祥伝社黄金文庫) 2009年出版
さて、宝姫王は「興事を好む」女帝だと言われるぐらいに盛んに土木工事を起こしており、謎の渠工事をして「狂心の渠」と言われるくらいにひんしゅくを買っていました。
大建造物を造るなどは独裁政権によくあるもので、民衆は工事のために徴発されて苦しめられるのですが、斉明の場合はそれたけではありません。支配が及んでいなかった北方の異民族である蝦夷に対して、658年から三度も討伐軍を組んで侵攻しました。
この権勢欲の強さはタイプ8でしか考えられないものです。しかし、大工事だけでなく、これらもみな中大兄皇子が主導したものだと、古代史研究者は受け止めています。女帝ではあり得ないと思い込んでいる。
このシリーズの「その2」でも取り上げていますが、橋本治さんは、「宝姫王は蘇我蝦夷の傀儡(くぐつ、かいらい=あやつり人形)だったということです」と書いているのですが、宝姫王の後半記録を見て、見方が変わったみたいです。
「(斉明は)民衆を嘆かせるほどの巨大な力を持った権力者になった。弟の孝徳天皇のやり方を見てマスターしたのです」となりました。孝徳は民衆を苦しめるほどのことはしていないのにです。
橋本さんの著作はいつも面白くてよく読んでいるほうだと思うのですが、『日本の女帝の物語』のサブタイトルにある「あまりにも現代的な古代の六人の女帝達」とありますが、どこが現代的なのか全く解りません。それに、自身の女性観は旧のままと言えそうです。
なお、『古代史の謎を攻略する』(笠間書院)の著者である松尾光さんは、「黒幕はとかく無関係のような姿をとっているものだ」と書き、天皇は暗殺計画に荷担していた。退位は見せかけで、改新政府でも決定権を握る重鎮でありつづけたのである」などと述べています。
ちょっとビックリという記事も見つけました。長野県の善光寺に伝わっている「縁起」に載っている①
「地獄で皇極帝と出会った」というものです。このサイトはホームページですから、何やら忖度して載せていないようですが、②と③には載っています。その他「驕慢で嫉妬深い」から地獄に堕ちたと伝えられています。
①『善光寺縁起』https://www.zenkoji.jp/about/engi/
②http://blog.livedoor.jp/mappkakr-kaikatudo/archives/67441112.html
③http://jj243.cocolog-nifty.com/log/2009/05/post-0ca6.html
ところで、今回①サイトを見て幾つもの驚きがありました。善光寺の寺伝によれば本堂は皇極天皇元年(642)の創建となっており、地獄にいた皇極帝を助けたので建立されたようです。
さらに、善光寺の本尊は「絶対秘仏」です。寺の住職ですら目にすることはできないらしい。本尊である仏像はインド製らしく百済から持ち込まれた? しかも、仏教が宗派に分かれる以前からの寺院ですから、この寺はどの宗派にも属さないという。
本堂の屋根は檜皮葺(ひわだぶき)きで、屋根形式は撞木造(しゅもくづくり)という特異なもので、かつ間口に比して奥行が深く日本の仏堂には特異な平面だとか。
また女人禁制の寺があるなか、稀な女人救済の寺だとか。皇極との因縁から建てられたのですから、女性禁制にはならないでしょう。その他、謎の多い寺みたいで、なんだか訪ねてみたくなりますね。
★『善光寺の謎』が照射する石渡理論~「百済」のリンクhttp://blog.livedoor.jp/wakankousa/archives/50667735.html
★宮元健次著 『善光寺の謎』 (祥伝社黄金文庫) 2009年出版
さて、宝姫王は「興事を好む」女帝だと言われるぐらいに盛んに土木工事を起こしており、謎の渠工事をして「狂心の渠」と言われるくらいにひんしゅくを買っていました。
大建造物を造るなどは独裁政権によくあるもので、民衆は工事のために徴発されて苦しめられるのですが、斉明の場合はそれたけではありません。支配が及んでいなかった北方の異民族である蝦夷に対して、658年から三度も討伐軍を組んで侵攻しました。
この権勢欲の強さはタイプ8でしか考えられないものです。しかし、大工事だけでなく、これらもみな中大兄皇子が主導したものだと、古代史研究者は受け止めています。女帝ではあり得ないと思い込んでいる。
このシリーズの「その2」でも取り上げていますが、橋本治さんは、「宝姫王は蘇我蝦夷の傀儡(くぐつ、かいらい=あやつり人形)だったということです」と書いているのですが、宝姫王の後半記録を見て、見方が変わったみたいです。
「(斉明は)民衆を嘆かせるほどの巨大な力を持った権力者になった。弟の孝徳天皇のやり方を見てマスターしたのです」となりました。孝徳は民衆を苦しめるほどのことはしていないのにです。
橋本さんの著作はいつも面白くてよく読んでいるほうだと思うのですが、『日本の女帝の物語』のサブタイトルにある「あまりにも現代的な古代の六人の女帝達」とありますが、どこが現代的なのか全く解りません。それに、自身の女性観は旧のままと言えそうです。
なお、『古代史の謎を攻略する』(笠間書院)の著者である松尾光さんは、「黒幕はとかく無関係のような姿をとっているものだ」と書き、天皇は暗殺計画に荷担していた。退位は見せかけで、改新政府でも決定権を握る重鎮でありつづけたのである」などと述べています。
確かに黒幕というものは隠れて見えないものですが、タイプ8という気質は格別で、その気質は隠そうとしても、どうにも隠せないものです。つづく
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