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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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先月、山梨県の見延町にある『生誕300年、木喰展(もくじきてん) 』にて、木喰上人(1718年生まれ)の作品である「仏像」を初めて観ました。円空仏のように、全国を遍歴して仏像を作っていた遊行僧(ゆぎょうそう)です。



喰上人はたぶん一世紀ほど前に彫られた円空仏を観ていた可能性があります。円空仏は簡素というか厳しさがあり、また野性的ともいえます。ですが、木喰上人が彫った仏像の多くは微笑みを浮かべており、柔和で温和、ふくよかでかつエネルギーに満ちているように見えます。

木喰上人はそれまで各地で仏像を造っていましたが、80歳の時になんと千体の仏像を造るという目標を決めたみたいです。ですが、それを達成した後の90歳になっても、さらに二千体という目標を掲げたみたいです。

高齢になっているのに五千里も歩き通して諸国を巡り、千躰以上の仏像を刻んでいるのですから並大抵のことではありません。亡くなられた年齢は定かさではありませんが、93歳だと言われています。

目標を達成できずに亡くなったようなのですが、その年齢でそのような目標を持つことができるのだ! と、真に驚きました。よほどのエネルギーの持ち主というか、強い意志に支えられているのだと。

なお、私自身は目標を掲げたことなどこれまで一度もなく、負けず嫌いという傾向は全く持ち合わせていません。おかしな言い方ですが、すぐにあきらめてしまうという「長所を持っている」と自慢げに話すことがあります。自慢できることではありませんが…。強い意志も持ったことがないやわな人間です。

そんな人間ですから、木喰上人の生き方にはあ然としました。なぜ、そんに強い意志を持ち続けられるのかと…。

ところで、「木食」とは五穀を絶ち木の実や若芽を食す修行をすることだそうで、その修行を終えた人は「ひじり」というそうです。木喰上人は、「喰」という字に変えて名乗ったみたいです。

しかし、なぜ火食(煮炊き)と肉食もしないままで充分な栄養が取れるのでしょうか? それだけではありません。真冬でも衣服一着のみで全国を行脚していたというのですから、体力も精神力も人間とは思えないくらいで、驚異的過ぎます。

すみませんが長くなりそうなので続きは明日にしたいと思います。

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