そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰?
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台風などの被災地の現状を見たり聞いたりするたびに、私は子どもの頃の体験を思い出しています。
真夜中のこと、居間で家族みんなで用心のために待機していました。
なお、最初は畳が浮きあがり、次はタンスがグラリと傾いて、こちらに倒れてきます。水位はみるみる上がっている。死ぬかと思うような恐怖を味わいました。
浸水の勢いは天井に届くかと思うくらいで、屋根裏部屋に行くには大急ぎでハシゴを使うしかありません。
ハシゴで登る途中です。急激な寒さから尿意を催して、ハシゴの上に居た母親に、「おしっこしたい…」と言う。
母親はすかさず「そこでしなさい!!!」
それでも迷っていて、眼下は水が渦を巻いており、元は…居間なのですから…そんなことでも容易ではありません。
母親はすかさず「そこでしなさい!!!」
それでも迷っていて、眼下は水が渦を巻いており、元は…居間なのですから…そんなことでも容易ではありません。
これだけでなく、あの頃の母親はシッカリしていて、大抵のことはテキパキと指図してくれたこと、今でも忘れられません。
なお、屋根裏部屋は三畳くらいで、ロウソクの火を灯して両親と兄姉たちと一晩寝ずに過ごしていると、なんと!! 外から「助けてくれぇ!」という男の声が聞こえてきました。
小さな灯りが見えたので、とにかく屋根に登れば助かると思ったらしく、ずぶ濡れの男性は屋根づたいに、部屋の窓から入ってきました。
闇の中で見つけたロウソクの灯りが、一命をとりとめたみたいで、後に感謝されました。
その後、風は弱まりました。隣家の人たちは天井を壊して屋根瓦なども外して、屋根上に這い出ていたみたいです。
そんな中で「おぉーい、大丈夫かぁ…」「お~い! 〇さ~ん! 無事かぁ!」と、ご近所の人たちが互いに確認し合う声があちこちから聞こえてきました…。
……この体験はまだまだ続けられますが、この辺で終えたいと思います。
私は子どもだったので、家の手伝いはしないまま、ひとり親戚の家に預けられました。そこで、ちょっとしたいじわるをされたこともよく覚えています。
今年も大変な目に遭われた方が一杯いると思いますが、私と同じような体験をしている人はいるだろうと。そして、人生、何が大切なのかということを気づくのではないかと思います。
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