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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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 今回は、予定していたものを他のものと差し替えようと思います。気が変わった原因は、今日の昼頃に本棚を整理していると奥のほうから、ある詩集を見つけてしまったからです。石川逸子さんの詩集で、「千鳥ケ淵へ行きましたか」(花神社刊行)というタイトルの本です。

 ところで、昨年の春、出版社の社長さんと編集者との打ち合わせのために東京に行き、ついでに花見をしました。連れていかれたのは、なんと「靖国神社」で、この神社のすぐ近くに「千鳥ケ淵戦没者墓苑」があると知り、驚きました。靖国とはかなり離れたところにあると勝手な想像をしていたからです。

 存知ない方も多かろうと思いますが、この墓苑には戦争で死んだ無名の人たちの骨が地下室の壺に納められています。墓苑については、以下に詳しく書かれています。
        http://homepage2.nifty.com/boen/

 一方、靖国神社は軍人や軍属などを「英霊」
として祀っているもので遺骨も位牌もありません。しかし、氏名だけでなく軍における所属・階級、位階、勲等などを名簿に書いているようです。ここには太平洋戦争のA級やBC級戦犯
者たちも祀られており、そこで物議をかもし出しているのですが‥。 

  (ちなみに、ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が各地で上映ストップになったと報道あり。観たいと思っていたので、当地・シネマテークでも上映されないようで、とても残念です)
 
 さて、千鳥ケ淵は桜の名所ですが、墓苑はとても小さなところで32万人もの骨があるそうです。石川さん曰く、「もし32万人の死体が首都を行進したら、どんなに戦争が大変なことかみんな分かるだろう。しかし、彼らは押しこめられ、誰も気付かない」 

 ところで、
桜の木を仰ぎ見ていると、「そこで立ち止らないでください!」とアナウンスが入ります。人の多さは地方都市に住む者には考えられないほどです。また、対照的な二つの死者を祀る場所が、こんなにも近く、また現在では桜見物の人たちでごった返しているのですから、複雑な気分になってしまいました。かつてはこの詩集を読むたびに涙していたのですから‥。

 ちなみに、この詩をほんの少々載せています。少しならば著作権侵害にはならないだろうと思います。詩集
「千鳥ケ淵へ行きましたか」をぜひとも全文読んでみてほしいと思い転載しました。桜咲く季節になると「千鳥が淵」のことを思い出す、それほどに気迫とパワーのある詩集です。ちなみに、石川逸子さんのページが以下にあります。
          
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/poem/ishikawa-itsuko.htm

 
22
  三たび 千鳥が淵で  (この中のほんの一部だけ転載)

棺に閉じ込められた

名はありながら 名のなくなった
骨たちよ
そんなところに 閉じ込められていてはいけないのです
どうか出てきて るいるいとその姿を 生者の眼にさらしてください
321633
体の あなたがた
押し込められて生き そして果て
今も押し込められていたくない と
この骨を見てくれ と
されこうべを震わせて
ぞろぞろと ぞろぞろと ぞろぞろと
どうか 地上を歩いてください

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