そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰?
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30年ほど前に、「派遣社員」になったことがあります。その頃はほとんどの人たちが職業安定所に足を運んで職探しをする時代です。たまたまある事務所を通りかかって、受付に行くと試験があり、とりあえず受けました。数日後、合格の知らせが届きました。
しばらくして連絡が入り、大手の企業に派遣されました。時給が1500円で、当時の平均の3倍はありました。破格ですが、さしたる資格もなかったので、家族も驚きました。ちなみに、20年前に東京都内のコンビニでバイトした友人が、昼間は時給600円、深夜は800円だったと言います。
なお、その企業は緊急な仕事が派生したので急きょ募集したのですから、仕事の密度が濃くて大変に疲れるものでした。まだ派遣は珍しい時代だったのか、正社員たちからは、異質な存在に見られていたように思います。「こんなに大変な仕事なら働き続けることはできない!」と早々と降りて、辞めてしまいました。勿体ないと思ったことはありません。
「労働者派遣法」が施行されたのは、1986年です。私は、それ以前の「派遣社員」です。この派遣法に反対する勉強会とか集会に出たことがありますが、当時の人たちはあまり関心を持たず、難なくこの法案は通過して、施行されてしまいました。
現在の「派遣社員」というものは、あの頃とはまったく違うものになっているようです。かつては特殊な仕事や専門知識を活かすという考え方があったように思います。しかし、現在ではバイトやパートと同じようにみられる、安上がりの臨時要員みたいなイメージになっているようです。
06/08の秋葉原通り魔犯人は、派遣社員だとあります。数ヶ月後にはリストラの対象者になる恐れがあったようです。時給1300円だと彼は掲示板に書いています。不安定な身分では、精神的に追い詰められていたでしょう。
また、彼の両親は不仲らしく別居しています。彼自身も母親と不仲のようです。そのうえ、故郷から遠く離れ、ひとりぼっちで暮らしています。それでは大変に辛いものです。帰るべき家もありません。
ところで、「労働者派遣法」は、今日の格差社会を作り出した源の一つで、「悪法」だと言ってもよいものではないでしょうか。
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