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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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 故国に二度と戻れず、また親戚も知人もいない他国にたった一人で嫁入りするのであれば、熱烈な恋愛をしたのかなと、あなたも予想しませんか? 

 でも、予想に反していたのです。花婿は親戚筋の人らしいので、「孝行息子だから、よい婿になるよ」みたいなことを花嫁は聴いていたかもしれません。

 
でも、どうも腑に落ちないので何か見つからないかと、この映画を紹介しているサイトを探してみました。がしかし、私のように疑問に感じているところが一つも見つかりません。おかしいですよね?? 

 研究者を自認(?)しているならば、疑問を見出すことは必須です。そして、納得できない場合はしつっこく食い下がるべきで、「執拗さ」ほど必要な資質はないと思っています。それで、本業そっちのけで調べまわって時間をとられてしまいました。


 さて、2008/10/02 AFPの報道が見つかりました。「ゴラン高原Ein Qiniyaで暮らしていたイスラム教ドルーズ(Druze)派の女性Arin Safadiさん(24)は925日、いとこのRabia Safadiさん(35)と結婚するため、停戦ライン上の国連軍の監視ポイントから、シリア側のクネイトラへ入った。花嫁はゴラン高原に残る実家の家族には二度と会えないだろうと親族たちは語った」

 報道からみると、この映画にはモデルがあるようで、会ったこともない男のところに嫁ぐ女性はいるみたいです。見知らぬ他国の、かつ全くの他人と結婚するのではなく、いとこ同士の結婚ですから、一族の結束を固めているようにみえます。

 また、この地にいる村人の宗派は、イスラムのシーア派の中の多数派イマーム派から分離して生まれた「ドゥルーズ派」だとあります。あまり聴かない宗派です。

 他の派とは違い、「ドゥルーズ派はコーランを用いず独自の聖典を持ち、メッカの方向を向いて礼拝しない。周囲からの異端視を避けるため、ドゥルーズ派の信徒は非信徒に対して信仰を隠している等々」←出典「ウィキペディア」

 そもそも民族とか一族、または、国民っていうものは、他民族とか他国から侵略されたり占領されると、結束が急に強くなるものではないでしょうか。敵を目前にすると仲間意識が急激に形成されるものです。

 (ちなみに、政治家はその道理をよく知っていて、国内問題で手を焼いている時は、国民の目を外に向かわせるようにしています)

 その上、周囲から異端視されている宗派に属しているならば、他の宗派の人間との結婚は許されざるものになりそうです。自由恋愛など考えられないのではないかと。

 つまり、
嫁が置かれている環境が、彼女をして、このような結婚を決意させたものではないか、というのが一応は私なりに納得できるものです。でも、これを読むあなたは納得できるでしょうか? 

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舞台はイスラエル占領下のゴラン高原のとある村。この村に住む娘が、親戚にあたるシリアの人気男優に嫁ぐ予定ですが、その結婚式の朝からの一日を描いている映画です。
      
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 この地はもともとはシリア領ですが、1967年の第3次中東戦争の結果、イスラエルに占領されてしまいます。当然のことシリアはイスラエルの占領を認めません。占領地にいるシリア人が出国したら、二度と、ゴラン高原には戻れなくなります。

 ですから、シリアに嫁いで行く花嫁は、二度と故郷の地には入れないことを意味します。第三国で家族と会うことはできるかもしれませんが‥。そのためか、花嫁の表情は硬く、不安と緊張のさなかにいます。

 と、こんなことを知ると、一触即発的な隣国関係の中にいて家族愛が引き裂かれる悲しいお話なのではと想像してしまいます。でも、そのような印象はあまりなくて‥。

 花嫁は、テレビに出ている男性(花婿)を見たに過ぎず、直接に会ったことは一度もありません。男性のほうも、女性(花嫁)の顔写真を見ただけで結婚を決意したみたいです。会ったことも、言葉もかわしたこともない男性のところに嫁ぐ娘がいるなど、「一体! なに時代なの?」という感じです。

 故国に二度と戻れず、また親戚も知人もいない他国にたった一人で嫁入りするというのですから、かなりの熱愛なのかなと誰もが予想するのではないでしょうか。でも、そうではなかったのですからね。

 ちなみに、花嫁にとってのシリアは、本当は母国なのですが、彼女は1967年以降に生まれていると予想されるので、他国と言ってもよいような「近くて遠い国」ではないでしょうか。

 なにか解せない映画です。それで、帰宅してから、この地にいるシリア人のことを調べる羽目になってしまい‥‥。納得できないと気になって眠れなくなってしまう性分みたいです。続きは次回に!               

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  三河地方の、とある廃校になった中学校講堂での上映会に出かけました。ドキュメンタリー映画「水になった村」です。
        add46061.jpg
 ダム建設によって、岐阜県の徳山村の約1600人の村人たちが移転させられるが、「村が沈んでしまうまで住みたい」と舞い戻る年寄りたちがいました。そんな村での暮らしぶりを大西鴨夫監督が、15年間も東京から通い続けて撮られたという映画です。
                           http://www.mmjp.or.jp/pole2/damsp.htm
  

「山へ入って好きなものをとってきて食べる気ままな生活。こんな素晴らしい山と自然を独り占めして暮らせるなんて、私は本当に幸せやなあ」とおばあちゃんは言う。6人の村人たちの自給自足の暮らしは、意外なことに、寂しいとか辛いというのではないようです。

 ところで、このダムは多目的ダムとしては日本最大級のものですが、利水にも治水にも役立たず環境破壊にもなるものとして激しい反対運動が巻き起こりました。かつて私も、建設中止を求める署名を集めたり
しましたが、理不尽にも挙行され、昨年の5月に徳山村は完全水没してしまいました。

 水没した村を後にして、移転先の年寄りたちは「なんでも金、金で、暮らしにくい」と訴えます。映像からは、急に生気がなくなり老け込んでしまったようにみえました。

 ところで、映画の上映地でもある三河の設楽地区(シタラ)にも、ダム建設計画があります。(このダム計画を知りたい方は下記をクリック)

http://no-dam.net/file/damjuyokadai.pdf


 
欧米などでは、その逆をしています。ダムや護岸壁を破壊して自然な川の流れにしようと多額の予算が投入されている。自然を意のままコントロールできるはずはないと、漸く人類は気づき初めたというのに‥。間に合わないのだろうか‥‥、

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  講座が春休みに入り、少し時間的な余裕が取れるようになり、さっそく映画館に足を運びました。邦題は「チェチェンへ アレクサンドラの旅」です。

http://www.chechen.jp/(クリックすれば飛べます)

6441241c.jpg
  主演のアレクサンドラを演じている女性は、著名なソプラノ歌手で米国に亡命したことがあります。撮影当時の彼女の実年齢は80歳。

     高齢の女性が、ロシア軍駐屯地に大尉として勤務する孫に会いたくて、チェチェンの最前線に出かけます。兵士と同じテントに泊まりながら、兵士やチェチェンの人たちと出会うというお話です。(ちなみに
ロシアでは家族が戦地にいる兵士を訪ねるのは珍しいことではない)
 
 この映画、
報道統制下にあるチェチェンの最前線でオールロケの撮影だったみたいです。それゆえか戦争シーンは無いのですが、戦争の現場にいるという臨場感は漂ってきます。
 また、幼さが残っているような若い兵士たちは彼女をとても労わります。顔つきが兵士らしくなくなります。「ロシアの大地のような母」に対するみたいな、何か懐かしい故郷を思い出すみたいな目つきをします。
 一方、チェチェンの若者たちの表情は拒絶的というか絶望的に見え印象的です。

 
(なお、監督のエニアタイプはタイプ2w1と予想しています。人馴れしやすい人たちばかり登場しています。アレクサンドラも2w1らしく、孫に早く結婚しろと言い、嫁の世話までするつもりでいます。どの国でも2w1の祖母たちならみな言いそうなことです)

 チェチェンに関しては、パレスチナよりもずっと日本人には知られていないようです。私もあまり知りません。それで本やインターネットサイトを見つけて読んだりしますが、できるだけ映画も観るようにしています。

 さて、ロシアも「自分は世界の中心にいると思い込んでいる国」のようです。独立しようとしたり従わない国に対して、弾圧したり暗殺者を送り込んだり、武力侵攻しています。

  チェチェンと同様なことがグルジアにもあります。
大国はどこでも近くの小国に対して威圧的になりやすく、小国の人々を見下しているのではないでしょうか。

 ところで、チェチェンの人々はイスラム教徒で、しかも「イスラム神秘主義(スーフィズム)」のスーフィー派です。

 「一部の研究家がエニアグラムは、1011世紀に起こったスーフィーの聖職者の間に初めて現れたと主張している」と別の研究者が紹介しています。もしかしたら、チェチェンの人の中に、エニアグラムを知っている人がいるのかなあ、などと想像したりしています。

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 先週14日(土)に、久しぶりのサタデーナイト・ホームシアターとなりました。上映したのは、トミー・リー・ジョーンズ主演の「告発のとき」(IN THE VALLEY)です。

 米映画ファンであればよく知っている方だと思うのですが、トミーさんの顔のシワは深くなりましたね。かつての精悍さは見られないのですが、でも、渋い役者になっています。イラクから休暇で帰国した兵士(息子)が脱走したらしいと、父親(トミーさん演じる)が軍から知らせを受けて、息子を探すというお話です。

 どうやら戦場での残酷な体験から、息子も戦友たちも精神に異常を来たしたようです。よくあるお話です。それはまた事実であり、自殺者もたくさん出しています。

 ついでに紹介したい映画は「大いなる陰謀」です。トム・クルーズが大統領の座を狙う上院議員を演じています。ブッシュ前大統領が大量破壊兵器があるとみて、イラク戦争を初めたという事実がありますが、それを彷彿させる内容です。ここでは、高い志を持つ優秀な若者二人(ヒスパニックと黒人)が志願して、アフガニスタンの最前線に向かいます。前線にいる兵士に高い志など不要だとわかっていないみたい‥。

 「戦火の逃亡者」(STOP-LOSS)も、ぜひ観ていただきたい映画です。有能な軍曹(ライアン・フィリップ演じる)がイラク戦争から帰還しますが、除隊できるはずなのに、再び戦地に駆り出されてしまうので、逃亡を図るというお話です。精神に異常をきたして自殺する者もむろんのこと登場します。

 ちなみに、ストップロスとは「強制的期間延長」という意味です。逃亡しても決して逃れられないのです。自由の国アメリカだなどと、ただの幻影だとわかるものです。一握りの人間のみが「自由」なんだと言っている映画かもしれません。

 ご存知かと思いますが、米国は徴兵制ではなく、現在、志願制になっています。応募して5年間従事すれば、大学の学費が免除されたり、優先的に公務員になれるようです。また、米国の市民権を得られるので、不法入国した人たちも志願しています。

 「兵士という殺人マシーン」になるなど、どこの国でも不人気です。兵を集めることができないので、米国では女性兵士が増えており、約20%を占めているという。また、映画にあるように優秀な兵士を手元に残さねばならないようなのです。

 しかし、有事ともなれば大統領権限で直ぐに徴兵制に切り替える事ができるようです。しかし、現在では、大不況ゆえ、兵を駆り集めるのはたやすくなっているのではないでしょうか。

   ところで、17日、オバマ大統領がアフガニスタンへの米軍増派を承認したというニュースが流れました。ホワイトハウスによると約17000人の増派になる見通しだという。この17000の兵士たちの経済事情とか家庭事情とか、人種などをぜひとも知りたいものです。
 

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 大麻(マリファナ)よりもタバコのほうが有害ですが、野放しになっていることがどうも理解できません。「タバコ取締法」を作って、大麻並みの処罰をしてもよさそうに思うのですが‥、

 しかし、そんな法律が制定されたら、たちまち闇組織が暗躍することになってしまうのではないでしょうか。「禁酒法」時代のマフィアの親分であるアル・カポネみたいな人が出てくるかもしれません。

 「麻薬取締官」ならぬ「タバコ取締官」なるものができて、子どもたちから、「タバコ取締官はカッコいい!」なんて、憧れの対象になってもねえ‥。

 せめてタバコ税をアップさせることくらい考えて、喫煙者を減らす方向に持っていってほしいものです。日本は大麻には超厳しくて、タバコには大変に甘い。それは道理に合いません。

 米国、カナダ、欧州などでは、公共の場所だけでなく、屋根のあるところでは喫煙できません。日本もそれくらいまでにはなってほしいものです。

 なお、大麻の害は少ないとはいっても、大麻とタバコを吸い、そこに酒なども飲むとしたら健康被害は著しく進むようで、
害がないなどと思わないでくださいね。

 ところで、麻薬運び屋を描いている映画は結構あります。お奨めしたいトップは、「そして、ひと粒のひかり」(2004年、米国とコロンビアの合作)です。南米コロンビアに住む17歳の貧しい娘が、お金を稼ぐために自ら麻薬の運び屋になり、米国に入国しようとするお話です。 

 2位は「ブロックダウン・パレス」(1999年・主演女優はクレア・デーンズ)です。卒業旅行で二人の娘がバンコクに行きますが、知らないうちに荷物の中に麻薬を入れられてしまうのです。麻薬には厳罰を課すタイですが、彼女たちは無知そのもので‥。

 3位は「
囚われた女」(1989年オーストラリア、ニコール・キッドマンが主演)です。麻薬を密輸したという罪をきせられて、タイの女刑務所に入れられてしまうのです。彼女の運命やいかに‥、という感じです。

 この3本の映画では、麻薬の運び屋にされてしまうのはみな女性です。男性よりも嫌疑をかけられにくいという実態でもあるのでしょうか? 悲惨さがより感じられるからと見積もってのことなのでしょうか? どちらにしても、映画を観ることで体験しておいたほうがよいと思うのです。

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 この映画は、妊娠中絶が違法だった1987年のルーマニアを舞台に、ルームメートの違法中絶を手助けする女子大生の1日を描いています。

 チャウシェスク(銃殺公開処刑されている)独裁政権の頃、労働力を確保する目的で4人子どもを産んでいない女性には、中絶が法律で禁止され、それでも中絶すれば重罪に処せられました。

  政権末期になると避妊さえも禁じられて
コンドームもピルも売られていなかったようです。同じ頃の日本と見比べてみたら、とても同時代には思えないでしょう。

 さて、主人公の大学生二人は、当日中に処置をしなければという崖っぷちに立たされます。そこで手助けする女学生はある自己犠牲をします。そこが多くの観客にとって不可解で納得できないところだと考えられます。

 しかし、この映画はエニアタイプ2の作品であると知ったならば、ホームページの理論等を読んでくださっている方々には理解できることではないでしょうか。

 なお、この映画は低予算らしく、またワンシーンワンカットで手持ちカメラの長まわしをしています。それゆえ、よく観るものと違って違和感をもたれるかもしれませんが、このような撮り方のほうが臨場感は出るのではないかと思います。

 監督クリスティアン・ムンジウさんは、「複雑な感情を描いているから、カメラを何度も止めると、俳優にも感情の流れが生まれにくい」と考えて、ワンシーンワンカットにしたみたいです。その意図は成功したと私には感じられます。

 ところで、中絶を扱った映画は、これまで観たところでは優れたものばかりでした。イギリス映画「ヴェラ・ドレイク」は、下町に住む無学で善良な女性の身の上に起きた出来事です。

 フランス映画「主婦マリーがしたこと」は衝撃的なものと言えます。フランス最後のギロチンで処刑されたある主婦の実話です。しかも、堕胎の手助けしたために処刑されたのですから、いかに国策として重大視していたか、わかろうというものです。この映画を観てしばらくは、ショックのあまり夢にまで出てきてうなされました。

 中絶を少し取り上げているだけですが、「サイダーハウスルール」は、貧しい人々をよく描いている映画です。人知れず隠れて中絶をしなければならない米国の実態が出ています。明るく自由なアメリカというイメージがあったら、それは考え直したほうがよいのでは‥。

 かつて日本も兵隊が要るので、“産めよ増やせよ”となった時代がありました。中国では一人っ子政策がとられており、いろいろな悲劇が起きています。現在の日本は少子化で、今度は“二人は産め”と言う。“腹は借りもの国家のもの”みたいな考え方が、今でも世界中で 大手を振って闊歩しています。

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 この映画の主人公は、貧しくて持病もある老人ですが、550キロ離れた兄のところに駆けつけるというお話です。宿に泊まるお金を節約するために、ベニア製寝台車を手作りして、トラクターで牽引します。安価なウインナーやレバー・ソーセージ(まずいらしい)をたくさん買い込んでの出立です。
 

 ちなみに550キロがどれくらいなのかわからず調べてみましたが、名古屋から青森までが1000キロなんだそうです。その約半分の距離をトラクターで行くという。トラクターは時速6.4キロくらいなので、自転車より遅くて、歩くよりは早いのかもしれません。

 老人なので一日4時間乗るとして、約22日くらいでしょうか。途中、ゆっくりするならば、約一ヶ月の旅になるのかもしれません。初秋に旅立ちして、兄の家に着いたのは秋も深まり紅葉になっています。

 米国の広大な畑地の景色も素晴らしいが、なんといっても、この老人の生き方が素晴らしいと感じます。貧しくとも卑屈にならず、自分の生き方をしっかりと持っていて、冒険心も失っていません。ケンカ別れした人と、自分のほうから歩み寄ろうとする勇気ある人です。理想的な人物に見えます。

 
ところで、私には、誤解されたままで長く会っていない友人がいます。この老人のように、再会を果たして、あの時の誤解を解いてみたいと思うのですが、勇気がなくて会えません。ここを読むあなたにも、そういう人はいませんか? 

 そして、最近よく思い出す人がいます。その人に会うためなら危険な旅をしてもいいと思うのです。一番に会いたい人です。それは亡くなった父と母です。まともな会話をしたことがありませんが、仲が悪いというのではありません。ぶつかりあったことはなく、不満も特に無いのですが、理解し合っていたとは思えません。

 両親は、昔かたぎの人間というか、そういう必要を感じなかったんだろうと思われます。それは私にも言えることで、何か問題が起きたらそのときには語り合ったのかもしれません。ですから、とりわけ書き出すようなことは何もないのですが、二人を思い出すと、ちょっと目元がうるみます。語り合っていなかったことを悔やんでいます。なお、親と死に別れたならば、多くの人たちが、いろいろなことで後悔するのでしょうね。

 さて、たとえ両親と何か会話ができたとしても、この映画のように、「何も言わなくてもわかる」というふうにはいかないでしょう。なんだか言い出しにくくて、父の周りをうろうろしていると、いつものように、「オイ!」と父がタバコを取ってくれと手で合図して、私は面倒そうに、タバコとライターと灰皿を渡すだけに終わりそう。母は着物を縫いながら、「ちょっとお茶でも入れて! 相変わらず気の利かない子だねえ‥」  な~んてね!! こんな感じの映画もあったような‥‥。 

 ちなみに、リンチさんが監督して作ったニューヨーク市の公共広告が、以前、話題になりました。傑作です。「ゴミのポイ捨てはやめよう!」というキャンペーンの動画で、以下のYouTubeで見られます。怖がりな気質の人が作ると、本当に怖~くなります。ゴミのポイ捨てする人が、実際、減ったんじゃないかと思ってしまいます。 
http://coolsummer.typepad.com/kotori/2007/05/cm.html

 

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 受講生から、おすすめの映画があったら、「一つだけでいいから教えて欲しい!」と告げられてしまいました。一つだけといっても困ってしまいます。あんまり長く生きてきたので、観た本数もかなりになります。第一、あまり覚えていません。そんな返事をしましたが、何回も乞われてしまい、いろいろと考えたすえに、「“ストレートストーリー”がいいよ」と、つい答えてしまいました。

 あらすじは、73歳の老人アルヴィン・ストレートが、兄が倒れたと聞いて550キロも離れた兄の家へと旅する、いわゆる「ロード・ムーヴィー」です。

 アルヴィンは貧しく、運転免許もないらしく、目も糖尿病を患い、それ以外の持病もあり身体はガタガタです。腰も痛めており、杖なくしては歩けない頑固な爺さんです。
それでも、ケンカわかれしたまま10年くらい会っていない兄と、最後になるかもしれないと、旅立ちを決意します。

 そこで考えたのが芝刈り用の
トラクターです。アイオワ州ローレンスから、兄の住むウィスコンシン州のマウント・ザイオンまで、時速6.4キロのトラクターで旅します
旅の途中、いろいろなアクシデントが起きますが、いろいろな人々との出会いありで、見せ所は各所にあります。そして、結末で泣きます。たぶん! 多くの人たちが‥?
 

 この映画の監督は、デビットリンチ1999年の作品で彼が53歳のころです。「エレファントマン」で売り出し、「ツイン・ピークス」・ブルー・ベルベット」などで高い評価を受けています。この監督の作品の中で私が好んでいるものは、「マルホランド・ドライブ」です。他に類を見ない印象深いものです。

 作品から考えるに、リンチさんはタイプ4w5の可能性があります。ところが、この「ストレート・ストーリー」は、他の作品とだいぶ趣きが異なりますあまりにも素直というかストレートです。たぶん、そういう意味が込められていると思うのです。この映画だけを見ていたら、タイプ2なのか、いやタイプ4の作品だろうなとか、いろいろに迷ってしまいます。タイプ4の作品だとストレートには言えません

 そこで調べてみたら、なんと実話を元にしたものでした。また、脚本はパートナー(妻)のメアリー・スィーニーの手になっているようです。この女性がタイプ2なのか、または、実話の主がタイプ2なのかなあなどと、まだ調べてもいないのですが‥。ただ、そうであるなら納得できるという感じだからです。
 
 登場人物のセリフはタイプ4らしい雰囲気があるのですが、行動の仕方がタイプ2っぽく感じるのです。また4w5らしい凝ったところはなく、どちらかというと、退屈というか地味な作品です。
 ただし、しみじみとした気持ちにはなれました。


 さて、ここを読む皆さんも、ちょっと気持ちが荒れているならば、この映画を見ると、涼しい風に吹かれたような気分になるのではないでしょうか。でも、その気になって観てみたら、「期待外れだった」とわざわざ伝えないでくださいね。もう遅くなりました。今夜は淀川長治さんみたいに、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!         (済みません一度は真似したかったので‥)

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 アドレナリンとは、副腎髄質から分泌される自律神経の一種である交感神経を興奮させるホルモンのことです。危険な状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こすと言われています。例えば、命をかけて敵と戦わねばならない状態に置かれると分泌されますが、骨折しても全く痛みを感じないケースもあるようです。

 映画の主人公・ジェブは、アドレナリンを分泌させるには何だってやるしかないという状況にいます。コカインを吸い、パトカーに追いかけられ、恋人と街頭でセックスして、スーパーや病院でアドレナリン入りの薬剤を強奪するなど、やりたい放題。自分の手をワッフル焼き器で焼いてアドレナリンを分泌させようとします。また、自分の足に釘を打ちますが、痛みは感じなくなっていると説明しているようなシーンがあります。


 ちなみに、この映画を製作した人は、タイプ7w8だろうと予想されます。ただし、予想しているに過ぎず判定したのではありません。エニアグラム性格学理論では、タイプ7は「世界の淵にいると自己認識するタイプ」といい、以下に掲載。作品には、この崖っぷち感がよく出ています。

http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory1.htm

 1時間で死ぬという設定では崖っぷち感が出て当然ですが、たとえばタイプ2の作品には、絶対絶命状態であっても、さして崖っぷち感が感じられないことがしばしばあります。最近のものならば、マット・デイモン演じる「ジェイソン・ボーン・シリーズ」です。

 場面展開も素早く、次々と強敵が立ちはだかります。なお、ボーンは政府組織で訓練されたスパイで殺しのプロですが、記憶喪失になっており自分が置かれている状況は不明。まさに崖っぷちに立っている設定ですが、なぜか余裕を持って見ていられます。


 女性との関係も、タイプ2は協力者になっていることがありますが、この映画では、女性は「性の対象者」か「男を癒してくれる存在」というような描き方です。それゆえ、少しおバカで気立てのいい女ということになるのでしょうか。また、ハチャメチャなところや
お尻を露出させるなど、思わず笑いを引き出すように作られています。そこがタイプ7らしいところだと思われます。

 しかし、ジェイソンシリーズのほうは、エログロはなく、戦いが克明に描かれており、場面設定も緻密です。賢い女性も登場して、セックスに高い関心があるとは見えません。また、粋でシャレた場面もあり、そこが楽しめる映画かもしれません。

 ところで、タイプ7の行動の仕方を見ると、いつも走っていると思わされることがよくあります。「スタンバイ状態にいる人」とか、「せっかちで待てない気質」と説明することもあります。ラストの主人公の台詞は、ピッタリとタイプ7にあてはまると考えられます。また「女性の存在が大きいタイプ」とうかがえます。

 そして、ジェイソンのほうは、「見られている自分」から、すばやく相手を見るほうに回っています。しかし、タイプ2自身はあまり人々を見ていないことが多いと感じられます。他人から見られていることを忘れてしまうこともよくあります。

 一方、ジェブのほうは、衆目の中でセックスをしており、注目を浴びたいというタイプ7の気質が垣間見えます。「見られている自分」をいつも意識している人たちですが、実は最も周囲をよく観察しているタイプです。タイプ7にとって「世界は危険なところ」ですから、至極当然のことではないでしょうか。両タイプの気質の違いがくっきりと映画に出ています。

 また、ハッピーエンドにならないところも、「自分と世界は否定的に結びついている」というエニアグラム性格学理論で、うまく説明ができるところです。一方、ジェイソンシリーズはまだ続くようで、どうやらハッピーエンドになりそうです。ちなみにタイプ2は「自分と世界は肯定的に結びつくタイプ」です。
 作品に、作者の気質は投影されますが、この映画も鮮明に出ていると言えるでしょう。
 

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