そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰?
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取り上げるタイプが片寄らないようにいつも注意しています。
しかしながら、タイプの片寄は予想以上らしく、他のタイプがなかなか見つかりません。
登場しないのは、たまたま見つけられないだけなのかもしれません。が、エニアグラム研究を始めてから、もうじき20年になろうとしているのに、ずっと続いている傾向です。
結果からみれば、片寄りはかなり大きいと考えざるを得ません。なお、あまり登場しないタイプとは、1・3・5・6・9です。
圧倒的多数を占めているのは2w1です。その次はタイプ7とタイプ4です。
少数派のタイプを見つけ出すために、あまり読まないジャンルの本を読むようにしており長年の習慣にもなっています。
さて、なかにし礼さんの実話小説『兄弟』は、兄弟のタイプが違うのではと考えられました。
なかにし礼さんはタイプ2w1と判定していますが、実兄を全く理解できないというのです。
となれば、この兄は、2w1以外のタイプになるかもしれない、と、期待して読んでみました。
14歳年上の兄との関係がくっきりと出ているものでした。兄はやくざな遊び人ふうですが、弟のほうは真面目で常識的とも言えそうです。
この兄は既に亡くなられていますが、この兄からたいへんな大迷惑を受けたようです。
たとえば、実兄は「女のことしか頭にない」とか、「(兄は)借金を返済できずたびたびタカられた」などがあります。
6000万円の生命保険をかけられて、兄はチャッカリと保険金の受取人になっていたとか。
「女のことしか頭にない」のであれば、兄のほうはタイプ7かタイプ8かなと予想しました。「女性を強く意識するタイプ(837)」から探せるだろうと。
そして、祖母に無断で、祖母の家を抵当にして大金を借りて大きな賭け事をする、などと破天荒ぶりは相当なものです。
しかも、22歳の頃のことです。タイプ3が消える情報です。タイプ3は調和タイプで常識人です。悪く言えば小心者ですから破天荒なことをするとはほとんど考えられません。
で、この大胆さから、タイプ7w8ではなく、タイプ8w7なのかなと予想していると…、「普通に働いていたんじゃあ、この人数を食わしていけない、一山当てなきゃ…」とあります。
タイプ7w8は、タイプ8w7と比べたら小心者です。大胆なことはしにくいほうで、また、タイプ7は長男気質です。
一家の主人になっているならば別ですが、長男という立場であるならば家族を養わねばならないという意識は少なくなります。タイプ7w8の可能性はずっと低くなります。
ところで、この小説には、なかにし礼さんが述べていた「女のことしか頭にない」という出来事がほとんど出てこないのです。
一山当ててドンチャン騒ぎをするときに芸者などをあげています。また、大勝負に疲れて残った金で女郎屋にあがり、20日間も流連(いつづけ)したなどがあります。
(ちなみに、「芸者をあげる」とは、宴席に呼ぶことで、今風なら「芸者を派遣してもらう」になるのかな? 遊女や芸者は「水あげ」をすると言われていた。
また、遊郭のほうでは揚屋(あげや)というものがあり、遊女を送り込む側を置屋と称していた。一時代前の風俗?にも精通する必要がある?!)
遊び人で派手で金回りのよい水商売系の男であれば、芸者遊びなどは当時(昭和30年代くらいまで)は、ごく普通のことで、とくに女好きだとは言えません。
現在のような多彩な遊び場は無かったのです。時代背景を知らないではタイプ誤認をします。
50年連れ添った妻曰く、「たった一泊の温泉旅行だって連れてってくれたことがない。パパ(夫のこと)が愛していたのは自分だけ」
837にとっては、妻は母親に次いで大切な存在であり、賭け事して大金を稼げば妻を豪勢な旅に連れ出すほうです。
むろん夫婦仲が極端に悪く離婚寸前であれば別です。が、この兄夫婦の仲はよさそうに見えます。
また、母親が男を作って再婚するというのに、この兄弟は感情的にもならず、さばさばとした対応をします。
母に対しては感情的になりやすく、母に執拗になるのがマザコンタイプ(8374)です。
母親が再婚すれば、自分は捨てられる、あるいは遠ざけられると考えて、大ショックになりやすいタイプ(ここはタイプ8を除く)です。この4つのタイプの可能性は低くなります。
なお、最も驚いたシーンがあります。危険な賭けをしようとする息子をいさめる母親が、息子に足にとりすがってわめいたら、「うるさい!」と一喝、「きゃあ」という母親の悲鳴。
なんとしたことか! 足で蹴っ飛ばしたために、階段下に落ちた母親は脳震とうを起こしたというものです。
ごく最近のことですが、知り合いから「父親が自分の母親を足で蹴ったために階段から転げ落ちた」というお話しを聴いたばかりです。
知り合いの父親はタイプ2w1と判定している方です。つまり、なかにし礼さんの兄も、タイプ2w1と判定できるのです。
実話の小説ですが、この部分は創作した可能性もあると思います。
でも、蹴り倒したというだけでよいと思われるのに、なぜこのシーン(階段から落下)を入れたのかと…。実際にあったことだと考えてもよいのではと思うのです。
短気でカッとなる、瞬間湯沸かし器みたいな怒り方(今では死語に)をするのは、タイプ2w1にはよくあります。手と足がすばやく出てしまうのです。
違うタイプを見つけたかったのに、残念! っていうところでしょうか。
実は、こんな体験ばかりで、その一端をお知らせしたに過ぎないのですが…。
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