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パリのとある日の夕刻のこと。全身を真っ白な衣装に包んだ5000人くらいの人々が、コンコルド広場に出現して、優雅な集団夕食会を催した、というニュース(AFP)を見つけました。
今年6月11日のことです。一行は広場に到着すると、瞬く間にテーブルやイスを並べ、テーブル上には陶器の食器をセッティング。ワインとシャンパンを傾けながら食事を堪能したようです。
毎年6月のある木曜日ですが、開催日時と場所は直前まで参加者にもわからないという。なお、ゴミ袋持参が鉄則で夜のうちに完ぺきに後片付けをして、食事の痕跡を1つも残らないようにするそうです。
さて、集団の夕食会は、インターネットの呼びかけで特定の場所に、見知らぬ人びとが集結する「フラッシュ・モブ(群集)」と呼ばれる催しです。
まずは、どんなモブがあるのか、先に紹介したいと思います。たとえば、「ピローファイト」というモブがあります。修学旅行の夜のマクラ投げみたいなものを、町中で集団でやるというものです。
「救命モブ」は傑作です。ビルから飛び降り自殺しそうな人がいて警官(役)が拡声器を持って説得、妻(役)も駆けつけている。が、よく見ると足下は1メートル余。見物人は楽しそう? か、怪訝な面持ち?
ストリートで突然固まってしまう「フローズンモブ」も傑作です。姿勢がそれぞれおかしいのです。何分間固まっていたのだろうか、それは書いてないので分からない。Youtubeで見られます。
「横断モブ」はみんなで渡れば怖くない、と勝手に横断しちゃおうというもの。その他、フリーズ・モブとか、イエローカードを高々と掲げるモブもある。世界中の都市でモブなるもので楽しんでいる人たちがいるみたいです。サンフランシスコ バンクーバー フィラデルフィア ニューヨークetc‥
フラッシュ・モブとは、一種の即興を集団で行うもので、電子メールを使って友だちから友だちへ伝言。携帯電話のテキストメッセージを使って送信もされているみたいです。
こんな時代になったればこそできるものではないかと。見知らぬ人たちとともに面白いパフォーマンスをして遊ぶのですから、精神的なゆとりを感じさせます。これぞ一期一会! の精神なのかもしれない。
参加者は、直前に電子メールで日時と場所と、どんなパフォーマンスをするのか、また、服装やルールなどが知らされます。しかしながら、基本的にモブは何をしてもいいようで、政治的なメッセージがあってもいいようです。
「フラッシュ・モブは、こわばった社会の筋肉をもみほぐし、ざらついたら社会の皮膚をなめらかにする“瞬間の社会彫刻”だ。フラッシュ・モブでは、その日・その場限りの小さな達成を共に喜びあい、笑い合うことができる。
そこから、ほんのすこし世界を見なおすことができる。他者への信頼を回復することができる。“世界は愉快で、人間はおもしろい!” フラッシュ・モブはそういうものだ。」(「イルコモンズ・アカデミー・メモ」より)
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