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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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テロリストの誓いはおよそこのようなものではないかと想像しているところです。

「アブレクの誓い」  真夜中にアブレクは モスクに忍びこんで誓う。

「わが崇拝する聖なる場所にかけて誓う。今日からは世の中のはみだし者になることを。人間の血を流し、誰にも情をかけないことを。これからは人々を迫害するだろう。人々から、彼らの心と良心と名誉という大切なもの全てを奪うことをこに誓う。

母親の乳房を含んだ赤ん坊を刺し殺すことを。乞食に残されたたった一つの小屋を焼くことを。喜びに満ちているところ、どこにでも苦悩を運ぶことを。

この誓いを破るならば、愛や人情が心を曇らせるならば、父の墓を二度と目にすることがないように。渇きを水が、飢えをパンが、決して鎮めないように。わが死体が路上に放置されるように。汚い犬がそこに汚物を注ぐように」

なお、アブレクとは、はみだし者のことで泥棒や人殺しのこと。人々のために殺す者も多いが、自分のために殺す者も大勢いる。いやってほどに不公平な目にあった者たちのことです。

「アブレクの誓い」は、タイトル『アリとニノ』という小説に載っていた(青字)ものです。著者は「クルバン・サイード」になっています。

1937年に、ウイーンにある出版社からドイツ語で出版されたものですが、どうやら著者は二人らしいのです。一人はオーストリアの男爵夫人(1894年生まれ)で、もう一人は1905年アゼルバイジャン生まれで、イスラム教に改宗したユダヤ人と言われています。

小説の舞台はカスピ海と黒海に囲まれた小国、アゼルバイジャン共和国とグルジア国です。歴史的にも多民族が入り乱れ支配した地域で、宗教も文化も違う人たちが混在している。

日本とは異質で遠い遠い国ですが、普遍的な物語とも言えます。しかし、いろいろなことを考えさせられました。

つまらない若い男女の愛と結婚の物語に過ぎませんが、男性はイスラム教徒で、女性はギリシャ正教徒で、日本人にはおよそ考えられないくらいに複雑な環境です。

キルギスもそうでしたが、この地方も略奪婚がある地域のようで、そこに悲劇が起きます。なお、主人公は上流階級に属しており、はぐれ者ではありません。
でも、このような小説を読んだのは初めてで、少しでも理解が進みそうな気がします。

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