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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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俳人・渡辺白泉(わたなべはくせん)をご紹介したいと思います。

戦前、無季の反戦句を残した大正2年(1913)東京生れ。慶応大卒。



戦争が廊下の奥に立つてゐた


上の俳句は、昭和14年の作品でもっともよく知られています。放射能が廊下の奥に立っていた、と、ある時に気づくとしたら…。かなり怖い。でも、それが現実です。


マリが住む地球に原発などあるな


この俳句、私のことを詠んでくれていると勝手に思っています。大きな絶対的な愛に包まれているって気がします。
白泉さんが生きた時代と今とが重なってみえます。



稲無限不意に涙の堰を切る 

この句は昭和30年代に作られたものだとか。戦争が終わって10年経ち、食糧事情は少しずつよくなった頃です。

ある日、白泉さんが見た稲田は、無限に見渡すかぎり広がって豊作が予想された。平和を象徴するような風景です。

でも、戦争と食糧難を体験をしている白泉さんは、それを見て、涙が堰をきって流れてしまったのです。

死んでしまった家族や友人たちに、その稲田を見せたかったのかもしれません。自分だけ、こんなに豊かな稲田を今、見ている、でも…、と。

福島の稲田は6月末に見ていますが、本当に青々として美しい光景でした。

でも、収穫がされても、それが人々の口に入るのだろうか。捨てられてしまう可能性が高いとしたら…。

放射能にまみれた米、そんな危険な米は誰にも食べてもらいたくない。とくに子どもたちには。と、農家の人たちは考えているだろう…、

でも、汗水たらし苦労して育てたお米です。それが無駄になる、誰も食べてくれない……。

その耐え難い悲しみ辛さを考えたら、涙々がとめどもなく堰を切ったように流れ出てしまいそうである。

 

 
街燈は夜霧にぬれるためにある

ふつつかな魚のまちがひそらを泳ぎ

銃後といふ不思議な町を丘で見た

飛行機となり爆弾となり火となる

赤く青く黄いろく黒く戦死せり

綳帯を巻かれ巨大な兵となる

赤の寡婦黄の寡婦青の寡婦寡婦寡婦

司令等の倉庫燃えをり心地よし

憲兵の前で滑って転んぢゃった
 
新しき猿股ほしや百日草(終戦)

日の丸のはたを一枚海にやる

姿見を犬ゐる街へもちはこぶ

戦争はうるさし煙し叫びたし

血の甲板(デツキ)に青き冷たき夕暮来(く)


 

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