そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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河井酔茗作  (かわいすいめい1874-1965

ゆずり葉

子どもたちよ
これはゆずり葉の木です
このゆずり葉は
新しい葉ができると
入れかわって古い葉が落ちてしまうのです

こんなに厚い葉、
こんなに大きい葉でも
新しい葉ができると
むぞうさに落ちる
新しい葉に命をゆずって──

子どもたちよ
おまえたちは何をほしがらないでも
すべてのものがおまえたちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません

かがやける大都会も
そっくりおまえたちがゆずり受けるのです
読みきれないほどの書物も
みんなおまえたちの手に受け取るのです
幸福なる子どもたちよ

おまえたちの手はまだ小さいけれど──
世のおとうさん、おかあさんたちは
何一つ持ってゆかない
みんなおまえたちにゆずってゆくために
命あるもの、よいもの、美しいものを
いっしょうけんめいにつくっています

今 おまえたちは気がつかないけれど
ひとりでにいのちはのびる鳥のようにうたい
花のように笑っている間に気がついてきます
そしたら子どもたちよ
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときがくるでしょう


…………………………………………………
昔は、素直な気持ちでこの詩を読めたのに
今となっては
皮肉にさえ聞こえてしまいます

恥ずかしくなります
悲しくなります
遺していきたくないものばかりです

はじまりがあれば、終わりはある
命は永遠ではない
それさえ知らずにいたことを、
子どもたちに伝えるべきか

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竜頭 万里子 (りゅうとう まりこ)
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