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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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reader6.jpgこの映画の主人公であるハンナとミヒャエルは、愛し合っていたのでしょうか。朗読のテープを送り続けたのは、ミヒャエルがハンナを愛していたからでしょうか? →④

ここの答えも簡単です。二人は、男女間にある愛情関係というものはなかった、というのが正解と言えるでしょう。まず取り上げられるのは、ハンナは出会った頃から死の直前まで、ミヒャエルのことを「坊や」と呼んでいたことです。

女性が年下の男性を愛してしまったならば、「坊や」とは呼びにくいと考えられます。これとは逆で、男性が年下の女性をベイビーなどと呼んでも、それは愛情表現になりうるものと考えられます。

この社会は男性優位社会であり、「主たる男に従う女」になっています。交際している男女で女性が男性より年長の場合は、かなり気を使っている、というのが一般的な傾向としてあると考えられるからです。

また、原作では、ミヒャエルが朗読テープを送った動機について何も言及していません。ハンナへの愛情からだとは書いてありません。「自分が丁度読みたいと思っているものをハンナのために朗読した」ようです。

そして、テープは送ってもハンナには手紙を書いていません。「ハンナとはお互い近くて遠い存在だったからこそ、僕は彼女を訪問したくなかった」

ミヒャエルは、このような一方的なつきあいを、「気楽でエゴイスティックな関係だとわかっていた」とあります。また、「僕は彼女を小さな隙間に入れてやっただけだった」とも。

また、ハンナの死によってショックを受けたり、絶望的にもなっていません。これでは愛の物語りとは言えません。もっとも、なんらかの親愛の情はあったようなので、これを愛の物語と呼べないことはないと思います。

邦題が「愛を読むひと」になっていますが、これは配給会社が考えたもので、とかく日本社会では叙情的なタイトルが好まれる傾向があるから採用したのでしょう。

さて、他の人たちがブログに載せている文章(青字)を以下に転載しています。
自分と照らし合わせて考えると、どうして21も歳の差がある男女が、肉体関係にまで発展するのかが理解できなくて、違和感がありました。それと、「愛をよむひと」というタイトルだけど、主人公はただ雰囲気で本を朗読してあげただけで、愛などないのに、変だなと思いました。

レイフ・ファインズ(ミヒャエル役の俳優名)の献身的な姿に心打たれるけど、彼の行動は今はやりの草食系とかじゃなく熱愛だな。あれだけ一途に思い続ける姿はなかなか無いよなぁ。

三十代半ばから見れば子供でしかない未成年に手を出す女なんて、禁断の愛などと言ったところで、とうてい受け入れがたくって。

文盲(illiteracy)を隠して生きてきたハンナが、人との接触を極度に嫌うのは自然なことであろう。圧倒的な力関係である「坊や」に対してなら行動できる、というのは、(人付き合いの出来ない男と幼年の女の子という風に)男と女の立場を変えた性犯罪が頻繁に起きている事実を考えれば、想像に難くない。

年老いたハンナに会いに行ったマイケルが、彼女の手を見てふと浮かべた表情を気付いてしまうシーンもまた切ない。愛していたからこそ言えなかった真実。ずっと愛していたのに、年の差を越えられなかった現実。

少年の時、ひと夏を過ごしただけの女性をそこまで想い続けられる切なく一途な愛。変わらぬ愛とはこういうことを言うのかもしれません。

年上といっても、21歳も年上、まわりからすれば親子みたいなものです。フツーに考えるだけで、なんてうらやましい(笑)

身寄りもなく、彼女の秘密を考えたら、苦労の絶えない人生だろうなって思うけど、ひとりの男性が、ここまで想い続けてくれたなんて、シアワセな女性だな~と思う。

「純愛映画」みたいな宣伝をされているけれど、僕はこれ、愛というより、「罪」の映画なんじゃないかな、と感じました。

ハンナに朗読テープを送り続けたのは、多分同情?しかしそれがハンナに期待を持たせてしまったことに気づき、煩悶する。だから手紙の返事も書けなかったのだろう。

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