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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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 今年の1月、J・D・サリンジャー(Jerome David Salinger)死去というニュースが流れました。彼の代表作が「ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)」です。

 若者たちから熱狂的に迎え入れられて、主人公は青春文学を代表するアンチヒーローと言われていました。売り上げは、世界全体で6000万部という驚異的な数です。

 30年くらい前に、たぶん私は野崎孝訳を読んだのだと思います。評判になったことなど露知らず、単にタイトル名に惹かれて手にしただけなのですが。

 その10年後くらいに、エニアグラム研究者ドン・リチャード・リソの著書と出会いましたが、そこに、サリンジャーは「タイプ4w5」だと紹介されていました。

 その頃はまだエニアグラムの本を読み始めたばかりでしたが、主人公のホールデンのような人を、タイプ4だというのか、と、驚きつつ何故かスッと頭に入ってきました。

 現在では、リソの考え方やタイプ判定にかなり疑問を抱いていますが、このサリンジャーのタイプに関しては、今でも私と一致しています。ただし、私のほうはウイングは小説からだけではわからず、判定していません。


 さて、「ライ麦~」は、主人公の青年が成績不振で学校を退学させられたことがきっかけで寮を飛び出して実家に帰るまでの3日間のお話です。これは実体験でもあり、彼は13歳の時に有名校から退学処分を受けています。

「とにかく僕は小さな子どもたちがゲームをして遊んでいるのを想像するんだ。その広いライ麦畑やなんかでね。何千という数の子どもたちで、まわりには誰もいない。つまり、大人はひとりもいないってことさ。僕以外にね。その僕はすごい崖の淵に立っている。
 僕の仕事っていうのは、子どもたちが崖から落ちそうになったら、彼らをつかまえることなんだ。つまり、子どもっていうのは、自分がどこにいるのかも気にせずに走り回るからね。そういうとき、僕がどこからか飛び出していって、つかまえるんだ。一日中僕がするのはそれだけさ。僕はライ麦畑の捕手になりたいんだよ」


ウィキペディアでは上記のところを取り上げて、落ちこぼれ意識や疎外感に苛まれる主人公が、妹に問い詰められて語った夢が、作品のタイトルとなっている」とある。

さて、「僕はすごい崖っ淵に立っている」とあるところですが、当会のエニア理論には「世界の淵にいると自己認識するタイプ(7・1・4)」というものがあります。また「末っ子気質」という名称もつけています。(以下のところ、クリックすれば飛べます)

http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory1.htm
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/static/theory7.htm

タイプ4は、たとえ長男に生まれたとしても本質的には末っ子的なところを色濃く持つタイプです。「末っ子のみそっかす」であるためか、疎外感を抱きやすく、自分を小さくて無力な存在に思いやすい傾向があると分析しています。


「一日中僕がするのはそれだけさ」とありますが、それは、それ以外には何もできない無力な存在っていうことではないでしょうか。

また、子どもの世界から離れていない、というよりも本質的には、「子ども」あるいは「少年」であるがゆえに、
あのようなことを書いたのだろうと推察します。続く……

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