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そこに、いつごろ創建されたのかわからない古い塔が、一面に生い茂った葦原に囲まれて立ち尽くしている。風が吹くと葦原がざわざわに唸りだす。なぜか、懐かしさに一杯になる、あの塔…。ずっと探し続けている。塔の秘密を解き明かすのは誰? 
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つげ義春全集を図書館で見つけて借りています。図書館にあるマンガはたぶん選び抜かれているものです。それは以前にも書いてますが、つげの漫画が、インテリたちからは芸術的とか哲学的だと見られているせいだろうと思うのです。

手元にあるのは全集8で、主人公の中年男性は多摩川で石を拾って売るのですが、なんと顔や体つきが太宰治に似ています。チョビ髭がついていますが。太宰治はむろんタイプ4と、エニアを知った当初の頃に判定しています。

「しかし、自分の全てを捨てて蒸発するってのはなんだろう。自分を“あってない”と観想するための具体的な方法でしょう」と、つげは漫画の主人公に言わしめています。この言い方が芸術的というか哲学的だと見られるところなのかもしれません。

話し相手が答えます。
「自分を役立たず、無用の者として、社会から捨てる、蒸発しているようなものじゃありませんか」

ところが、他のタイプからは、つげ(またタイプ4)は不可解な人と思われやすいので、エエッ! と驚くような見方をされてしまうのです。

たとえば、漫画評論家としても活躍している、いしかわじゅん(タイプ2w1と判定済み)は、「漫画ノート」の中で、つげを取り上げています。

「つげはかつていつも旅をしていた。つげは旅の人なのだ。定住することへの不安、日常でないものへの憧憬、そういったものを常に抱えて日常を送っているのだ。漂泊を渇望する心と、それとうらはらに知ってしまった不安定、その二つが常に戦っているのだ」

タイプ4にとっては、「定住することの不安」ではなく、居場所がない不安だと言ったほうがより正確なのではないかと。末っ子という気質から、現実的でないもの非日常的なものに関心が向いてしまうのであり、憧憬しているのではないと思われるのに。

役立たずの無用のものなので蒸発してしまう、逃げ出しているだけで、漂泊を渇望しているのではないのに…と、思われるのです。


実際、つげはガロのインタビューで語っています。
「ぼく宗教や世の中の改革を説いているんではないですよ。世の中に合わせるのが苦しい。外れていても不安にならずにいられるにはどうしたらよいか、ということを考えているだけです」 

外れていても、漂泊していれば、他の人たちから非難されません。一箇所に居つかないほうが、無能でダメな自分を知られてしまうという怖れもおきません。人と深い関係にもならずに済みます。それで旅にチョクチョク出てしまうのではないか、と考えたほうがスッキリと理解できます。


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