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映画「君のためなら千回でも」は、アフガニスタンでは上映されていないようです。なぜならば、差別問題があるためと書かれていたサイトがあります。
召使の息子ハッサンは「ハザラ人」といい、アフガニスタンでは約1割という少数民族で被差別民族です。13世紀にチンギス・ハーンに率いられてアフガニスタンにやってきたモンゴル人の末裔だと言われています。
主人公のアミールとハッサンに暴行した3人の若者は「パシュトゥーン人」といい、9割を占めています。また、アフガニスタンという国の名が、そもそも「パシュトゥーン人の国」という意味です。
タリバンが完璧に爆破してしまったバーミヤンの石仏は、なんとハザラ人の元々の居住地域なんだそうです。しかも、不毛のやせた土地です。
ただし、ハザラ人はイスラムのシーア派で、パシュトゥーン人はスンナ派です。どちらも偶像崇拝を禁じている宗派ですから、仏教の石仏を破壊する行為は分からないではありません。が、自分の信仰を大切にし尊重しているならば、他の宗派の信仰も大切にして尊重すべきではないかと思うのです。
なお、ハザラ人は細い目に平たい鼻、張りだした頬骨というアジア人らしい顔だちです。パシュトゥーン人から、けだものとか異端者扱いをされてきたという歴史があります。1890年代に、ハザラ人の数千人が虐殺され奴隷にされています。
このように、ハッサンが暴行を受ける根深い原因として民族差別があるのですが、前のところではそれを外して紹介しています。ですから、もう少し問題は複雑です。
なお、アミールの父親は、召使の女性との間でハッサンという男子を得ているにも関わらず認知していません。アミールが、母違いの弟だと知ったのは、追い出した20年後のことです。そして、父親は実の息子をかばうのではなく、結果として追い出すことに同意してしまうのですから。
一方、ハッサンは盗みの嫌疑をかけられても釈明せず黙ったまま家を出ます。誇り高い立派な振舞いをしています。潔白だという身の証を立てても無駄だということを知っているかのようです。
そういう差別を受けている人間たちの静かな怒りや、あきらめの境地というものを、少年とその父親がとてもうまく演じていました。それだけが、この映画の唯一つの良かったところだと私自身は観ています。
ところで、タリバンはイスラム原理主義者で、主にパシュトゥーン人が占めています。そのタリバンがますます過激になり、自爆テロも衰えることがありません。
9月29日AFPによると、「9日、南部のカンダハルで、走行中のバスが道路脇に仕掛けられた手製の爆弾に接触して爆発し、乗客ら30人が死亡。犯行声明は出ていないが、地元警察はタリバンの犯行だとみている」
10月7日、「パキスタンのイスラマバードにあるWFP(国連世界食糧計画)の事務所で、5人が死亡した5日の自爆テロについて、AP通信などはイスラム武装勢力「タリバン」が犯行を認めたと報じている。
この報道とともに伝えられたものですが、「タリバンのスポークスマンは今後さらに多くの自爆攻撃を行うと宣言」‥‥映画よりも現実のほうが圧倒的に恐ろしい!
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